ビタミンCは水と熱に弱い。だから我が家は野菜スープにします

最終更新日 2026年9月4日 by ooddee

野菜を茹でると栄養が逃げる。
どこかで聞いたことがあると思います。

ただ、それを聞いて「じゃあ生で食べよう」となった方は、たぶん長続きしていないはずです。
生のブロッコリーを毎晩たくさん食べるのは、単純にしんどいので。

食生活アドバイザーの宮下陽子といいます。
公民館で月に2回、家庭料理の教室をやっています。
高校2年と中学1年の子がいて、夫婦とも働いているので、平日の台所に使える時間は40分あるかないかです。

その40分の中で、私は茹でるのをやめました。
やめた理由は根性論ではなく、成分表の数字を見たからです。

減っているのは「壊れた」からだけではありません

文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、ブロッコリーの花序を見てみます。

生は可食部100gあたりビタミンC 140mg。
ゆでると55mgです。

この2つを並べて「6割減った」と読みたくなりますが、そこは少し違います。
ゆでると野菜は水を吸って重くなるからです。

成分表には重量変化率という数字も載っていて、ブロッコリーのゆでは111%。
生100gが、ゆで上がると111gになるという意味です。

だから手元に残る量で計算し直すと、生100g分からは約61mg。
残ったのは4割ちょっと、という結果になります。

面白いのは、同じブロッコリーの電子レンジ調理です。
加熱後も100gあたり140mgのままで、重量変化率は91%。
生100g分から残るのは約127mg、9割です。

どちらも同じように熱を通しているのに、この差が出ます。
熱そのものより、ゆで汁のほうが犯人だと私が思っているのは、この対比があるからです。

ほうれん草はもっとはっきりしています。
生35mgがゆでで19mg、重量変化率70%なので、残るのは約13mg。
4割を切ります。

成分表のゆで工程が「ゆでる、湯を切る、水にとる、手で搾る」だと知ったとき、私はうなってしまいました。
どれも、ビタミンCを水に送り出す動作ばかりです。

茹でるのをやめたのではなく、汁を捨てるのをやめました

とはいえ加熱はしたいのです。
緑黄色野菜のありがたさは、火を通せばカサが減って量を食べられるところにあります。

加熱はする、でも汁は捨てない。
それで我が家はスープに落ち着きました。

平日の作り方はいたって雑です。

  • 鍋に水と顆粒だしを入れ、火にかける
  • ブロッコリー、にんじん、ほうれん草を食べやすく切って放り込む
  • 火が通ったら味噌か塩で味を決める
  • 卵を溶き入れるか豆腐を足して、主菜寄りにする

覚えることは3つだけです。
茹でこぼさない。
水にさらさない。
汁ごと食べる。

料理教室でこの話をすると、「味噌汁でもいいんですか」と必ず聞かれます。
いいです。
むしろ味噌汁は、日本の家庭がずっと前から持っていた正解だと思っています。

一点だけ、ビタミンCそのものは加熱でも少しずつ壊れます。
ぐつぐつ煮続ける必要はないので、火が通ったらさっさと火を止めてください。

調理法より先に効くのは、たぶん「量」です

ここまで数字の話をしておいてなんですが、順番としては量のほうが先です。

厚生労働省の令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要によると、20歳以上の野菜摂取量は1日258.7g。
うち緑黄色野菜は80.2gでした。

健康日本21(第三次)が掲げる目標は350gですから、まだ90gほど足りていません。

調理法を工夫して1割2割を取り戻すより、皿にもう一品足すほうが効きます。
私が茹でるのをやめたのも、正直に言えば「鍋ひとつで済むから続く」という理由が半分です。

ちなみに緑黄色野菜の線引きは、厚生労働省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の取扱いについてという通知で決まっています。
原則として可食部100gあたりβ-カロテン当量600μg以上。
トマトやピーマンのように、600μg未満でも食べる頻度を考えて含めるものもあります。

栄養素ごとの働きまで一度整理しておきたい方は、緑黄色野菜の栄養成分とメリットをまとめたページが読みやすいです。

ちなみに厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)が示す成人のビタミンC推奨量は、1日100mgです。

まとめ

ビタミンCが水と熱に弱いのは本当ですが、家庭の台所で効いているのは「水に溶けて出ていく」ほうです。

成分表の数字で見ると、ブロッコリーはゆでで4割、電子レンジなら9割が残ります。
差を生んでいるのは、捨てている汁です。

だから我が家は、汁ごと食べられるスープにしました。
茹でこぼさず、水にさらさず、汁まで飲む。

そのうえで、緑黄色野菜は量そのものが足りていないのが実情です。
完璧な調理法を探すより、鍋にもう一種類放り込むほうが、たぶん明日の食卓は変わります。