冬の日照が少ない新潟で、明るいリビングをつくる窓の配置

最終更新日 2026年10月27日 by ooddee

新潟市でインテリアコーディネーターをしている長谷川美穂です。
独立する前は、県内の工務店でショールームの担当を10年ほど続けていました。

打ち合わせで何度も聞いたのが、「冬になるとリビングが暗くて、昼から照明をつけている」という声です。
新築の相談でも、建て替えの相談でも、この話はよく出てきました。

新潟の冬が暗いのは気のせいではありません。
数字で見ると、太平洋側の都市とはかなりの差があります。

この記事では、まず新潟の冬の日照時間と太陽の高さをデータで確認します。
そのうえで、光の少ない季節でもリビングを明るく保つための窓の配置を、内装の視点も交えてまとめました。
これから家づくりを始める方が、間取りの打ち合わせに臨む前の準備に役立てていただければうれしいです。

新潟の冬はどのくらい日が差さないのか

1月の日照時間は東京の3分の1以下

気象庁が公表している新潟の平年値(統計期間1991〜2020年)を見ると、冬の日照時間の少なさがよく分かります。
同じく気象庁の東京の平年値と並べると、次のとおりです。

月新潟の日照時間東京の日照時間
12月62.9時間174.4時間
1月56.4時間192.6時間
2月74.3時間170.4時間
年間1,639.6時間1,926.7時間

1月で比べると、東京は新潟の約3.4倍です。
新潟の1月を1日あたりにならすと、日が照っている時間は2時間に届きません。

おもしろいのは、年間で見ると新潟は東京の85%ほどあることです。
春から秋にかけてはしっかり晴れる日があり、差がつくのは冬に集中しています。

つまり新潟の家は、夏はまぶしく、冬は暗いという両極端と付き合うことになります。
窓の配置を考えるときは、この振れ幅を前提にしておく必要があります。

冬至の太陽は高さ30度に届かない

もうひとつ押さえておきたいのが、太陽の高さです。
国立天文台の日の出入り@新潟(2026年12月)によると、冬至にあたる12月22日の新潟は、南中時の太陽高度が28.7度です。
日の出は6時56分、日の入りは16時28分で、昼の長さは9時間半ほどしかありません。

同じ国立天文台の暦で夏至のころ(6月21日)を見ると、南中高度は75.5度です。
夏と冬で、太陽の高さは45度以上も変わることになります。

太陽が低いと、晴れた日には日差しが部屋の奥まで届きます。
その一方で、南隣の家や塀の影にも入りやすくなります。

冬にせっかく晴れても、隣家の陰になって光が入らない。
新潟の住宅地では、そうした土地は珍しくありません。

南の大きな窓だけでは明るくならない理由

明るい家と聞いて、多くの方が最初に思い浮かべるのは南向きの大きな掃き出し窓だと思います。
もちろん南の窓は大切です。
ただ、新潟の冬に限って言えば、それだけに頼る間取りはおすすめしていません。

理由は2つあります。

1つ目は、晴れの日そのものが少ないことです。
曇りの日に室内へ届くのは、太陽からまっすぐ来る光ではなく、雲を通して空全体から降ってくる柔らかい光です。
この光は方角による差が小さく、窓の向きよりも、窓の高さや空がどれだけ見えるかで入る量が変わります。

2つ目は、窓が家の中で一番熱の逃げやすい場所だということです。
日本建材・住宅設備産業協会が2025年12月に公表した住宅各部位における熱の出入り割合では、断熱等性能等級4相当の戸建住宅の場合、冬に失われる熱の41%が窓からという試算が示されています。
この試算は東京を計算地点とした6地域のもので、新潟市は省エネ基準の地域区分でそれより一段寒い5地域にあたります。

明るさを求めて窓を大きくするほど、冬の寒さや暖房費にも響きます。
窓は大きく、たくさん設けるより、光が入る場所に効く形で置くほうが、明るさと暖かさを両立しやすくなります。

南に窓をつくるなら、軒や庇の出もあわせて考えてください。
夏の高い太陽は庇でさえぎり、冬の低い太陽は庇の下から部屋に入れる。
先ほどの太陽の高さの差を利用すれば、夏の暑さを抑えながら冬の光を取り込めます。

ただし、庇を深くしすぎると、冬の曇りの日に入る光まで減ってしまいます。
設計者に、冬至と夏至の日差しが部屋のどこまで入るかを図で見せてもらうと分かりやすいです。

リビングを明るくする窓の配置5つ

ここからは、私が打ち合わせでよく提案している配置を5つ紹介します。
敷地の条件によって向き不向きがあるので、組み合わせて考えてみてください。

高い位置に横長の窓を設ける

壁の上のほう、天井に近い位置に設ける窓を高窓(ハイサイドライト)と呼びます。
同じ面積の窓でも、高い位置にあるほど空が広く見えるので、曇りの日の光を多く取り込めます。

高窓のよいところは、隣家の屋根越しに光を拾えることです。
住宅地で1階リビングの南側に家が迫っていても、窓を上に持っていくだけで明るさが変わります。
道路や隣家からの視線も入りにくく、カーテンを開けたままにしておけるのも利点です。

気をつけたいのは、手の届かない高さになることです。
開け閉めする窓にするなら、チェーンや電動で操作できるタイプを選び、掃除の方法も設計者に聞いておくと後で困りません。
換気に使わない位置なら、開かない窓(FIX窓)にして断熱や気密を優先する選び方もあります。

北側の窓を暗い窓と決めつけない

北向きの窓には直射日光がほとんど入りません。
そのかわり、一日を通して明るさが安定しています。

晴れの日が少ない新潟では、この安定した光が意外と役に立ちます。
南の窓が隣家の陰になる土地なら、北側に空が抜けていないかを確かめてみてください。

北側に大きめの窓や高窓をとると、まぶしさの少ない落ち着いた明るさのリビングになります。
本を読んだり、手元で作業をしたりする時間が長いご家庭には、特に合う光です。

吹き抜けや中庭で光の通り道をつくる

1階のリビングまで光を落とすには、吹き抜けが効果的です。
2階の高さにある窓から入った光が、吹き抜けを通って床まで届きます。

住宅が密集した場所では、中庭を囲むように部屋を配置する方法もあります。
外側は壁で閉じて、中庭に面した側だけを大きく開ける考え方です。

私がよく眺めている新潟のハイエンドな住宅デザインを集めたブログでも、高い石積みの塀で外からの視線をさえぎり、中庭に向けて窓を開いた住まいが紹介されていました。
サッシを壁の中に引き込んでリビングと中庭をひと続きにし、窓の配置と木格子の天井で柔らかい光を取り込む設計です。
カーテンを閉めなくてよい家は、冬の短い昼間の光を逃さないという意味でも理にかなっています。

新潟で中庭をつくる場合は、冬に雪をどこへ逃がすかも考えておきたいところです。
四方を建物で囲まれた中庭は、積もった雪を外へ運び出しにくくなります。
屋根の雪が中庭に落ちない形になっているか、除雪の手間はどのくらいかを、事前に確かめておきましょう。

吹き抜けにするなら、寒さ対策もセットで考えてください。
暖かい空気は上にたまり、大きな窓のそばでは冷やされた空気が下りてきます。
窓の断熱性能、暖房の方式、シーリングファンの有無まで、設計の段階で確認しておくと安心です。

雪が落ちる側にリビングの窓を向けない

雪の多い地域ならではの注意点もあります。
屋根から雪を落とす家の場合、雪が落ちる側の1階の窓は、冬の間ふさがれてしまうことがあります。

十日町市が公開している工夫がいっぱい雪国の家では、雪を落とす造りの住宅は1階部分が雪で埋まって光が入らなくなるため、居間を2階に置いていると説明されています。
新潟市のような平野部でも、屋根の形によっては軒下に雪が積み上がります。

屋根の雪がどちらへ落ちるかを確認し、その面には浴室や収納など、外の景色を必要としない部屋を寄せるのがおすすめです。
天窓を検討している場合も、雪への配慮は欠かせません。
天窓メーカーの日本ベルックスは、多雪区域では落雪の影響を考えて、屋根の山や谷から900mm以上離して設置するよう案内しています。

窓の向かい側の壁と天井で光を回す

ここはインテリアの仕事をしている立場から、ぜひお伝えしたいところです。
窓から入った光は、床や壁、天井に当たって反射しながら部屋の奥へ広がります。

濃い色の壁や床は光を吸い込み、白や明るいベージュは光をはね返します。
窓の向かいの壁と天井を明るい色にするだけで、同じ窓でも部屋の奥の明るさがかなり違ってきます。

床を濃い色にしたい場合は、天井と壁を明るくしてバランスを取ります。
つやのあるタイルや塗装を一部に取り入れると、反射した光が部屋の中に回りやすくなります。

もうひとつ、照明との組み合わせも考えておくと安心です。
冬至のころの新潟は、16時半前に日が沈みます。
どれだけ窓を工夫しても、夕方からは照明に頼る時間が長くなります。

窓の光が届きにくい部屋の奥や、天井を照らす間接照明を用意しておくと、昼の明るさから夜の明かりへ自然につながります。
冬の夕方に、急に部屋が暗くなったと感じにくくなります。

窓を決める前に確認したいこと

最後に、間取りの打ち合わせで確認しておきたい項目を表にまとめました。

確認すること理由
冬の晴れた日と曇りの日に敷地を見に行ったか低い冬の太陽で隣家の影がどこまで伸びるかは、現地でしか分からない
南側の空き地に将来建物が建つ可能性はないか今は明るくても、数年後に日が入らなくなることがある
サッシとガラスの断熱性能はどの程度か窓を大きくするほど、冬の熱の逃げ道も大きくなる
屋根の雪がどちらに落ちるか落雪側の1階の窓はふさがったり、割れたりするおそれがある
吹き抜けの暖房計画はどうなっているか断熱と暖房が足りないと、明るくても寒いリビングになる
高い位置の窓の開け閉めや掃除をどうするか手の届かない窓は、使い方を決めておかないと汚れたままになりやすい

ちなみに建築基準法では、住宅の居室に、原則として床面積の7分の1以上の採光用の窓を設けるよう定めています(建築基準法第28条、同施行令第19条)。
ただ、これはあくまで最低限の基準です。
冬の新潟で心地よく過ごせる明るさは、法律の数字を満たしただけでは手に入りません。

私がおすすめしているのは、気になった施工事例の写真を集めておき、打ち合わせで「この窓のような光がほしい」と見せることです。
言葉で「明るくしたい」と伝えるより、設計者とイメージをずっと合わせやすくなります。

まとめ

新潟の冬の日照時間は、1月で東京の3分の1以下です。
冬至の太陽は高さ30度に届かず、昼の時間も短くなります。

こうした条件では、南の大きな窓だけに頼らず、次のような工夫を組み合わせるのが効果的です。

  • 高窓で空の光を取り込む
  • 北側の安定した光を活かす
  • 吹き抜けや中庭で光の通り道をつくる
  • 雪が落ちる側にリビングの窓を向けない
  • 壁と天井の色で光を部屋の奥まで回す

窓は、明るさと寒さの両方を左右する場所です。
大きさや数より、どこに置くかを丁寧に考えることで、冬でも気持ちのよいリビングに近づきます。

これから間取りを考える方は、ぜひ一度、冬の曇りの日に敷地へ足を運んでみてください。
その日の光が、窓の配置を決めるいちばんの手がかりになります。